vol.16 海外の独占販売権を考える

自社製品の海外販売において、現地の卸先パートナーの選定は極めて重要です。パートナーの選択は会社の業績に大きな影響を与えます。

積極的なパートナーに恵まれると幸運ですが、多くはそうではありません。時には指導が必要な場合もあります。
さらに、一つのパートナーに独占販売権を与えることで、他の可能性を失うリスクがあります。

したがって、パートナー選定は慎重に行い、独占販売権の付与についてもよく検討する必要があります。
今回は、初めての海外取引で独占販売権を求められた際の判断基準について考えます。

パートナーにとっての独占販売権

海外の特定の国に製品を拡販する際には、現地の強力なパートナーと提携し、販売店や代理店契約を結び、販売の支援を受けることが重要です。

特に製品やブランドがまだ知られていない場合は、自社での普及活動は困難です。そのため、現地の卸先パートナーが重要です。
彼らは広告やイベント、プロモーションビデオなどを通じて製品を広めます。

その貢献度を評価し、独占販売権を得ることを望むのは自然なことです。後発のパートナーに販売を奪われるリスクを考えれば、
先発のパートナーが独占権を求めるのも理解できます。

このような取引は、製品が市場で認知された後に利益を生むことを想定しています。先発のパートナーにとって、
独占販売権は自社の投資と時間の対価として不可欠な要素となります。

独占販売権のデメリット

売り手の視点から見ると、特定の国での特定のパートナーに独占販売権を与えるということは、
パートナーが熱心に販売活動を行い、製品の認知を高めてくれることで売上への貢献に期待します。

しかし、需要の変動や利益率の低下などの理由で、パートナーが製品に対する関心を失い始めると、売り手は一気に困難に直面します。
というのも独占販売権を与えるということは、そのパートナーのやる気次第で売上や利益が左右されるからです。

このような状況下で、別のパートナーに切り替えたいと考えても、パートナーとの独占販売契約の解除は一筋縄でいかないことが多くあります。
売り手はその契約解除に時間と労力をとられ、その間思うような売上を稼げないからです。

私自身も独占販売権に関する苦い経験があります。インドネシアにおいて当初は複数の小中規模企業とパートナー契約を締結しておりましたが、
政治的な力が働き、同国の業界最大手企業と独占販売権を締結することになりました。

しかし、ふたを開けてみると、思うような働きぶりではなく、売上は上がるどころか下がるという状況になりました。
結局、何年にも渡り売上低迷が続きましたが、契約の解消もできない状況を経験したため、独占販売権付与に対する難しさというのを
身をもって体験しました。

状況の打開策

卸先パートナーの選定は極めて重要です。他のメーカーや同業者、小売業者からの情報収集や現地社長の確認など、慎重な調査が必要です。
信頼できるパートナーであれば、不適切な噂は立たないでしょう。

契約条件の提示も重要です。例えば、独占販売権の場合でも、年間取引額が一定額以下になった場合の解除条件を盛り込むことが有効です。
これにより、新たなパートナーを選定する際の移行がスムーズになります。

販売ボリュームが増えれば、複数のパートナーとの取引が競争原理を促進し、販売を最大化できます。
良い条件提示や販促支援は、パートナーのモチベーション向上にもつながります。

各段階での戦略を用意し、販売を最大化するための取り組みを行うことが重要です。

まとめ

海外市場で製品を拡販する際、現地の強力なパートナーとの提携が不可欠です。彼らは広告やイベントを通じて製品を広め、その貢献度を評価し独占販売権を得ることを望むのは自然です。

しかし、独占販売権は一方的な利益をもたらすわけではありません。パートナーの関心が低下した場合、市場での販売が停滞し、競合他社が参入する余地が生まれます。このような状況下での別のパートナーへの切り替えは難しいことがあります。

卸先パートナーの選定や契約条件の提示が重要です。信頼できるパートナーであれば、不適切な噂は立たず、契約条件により解除がスムーズに行えます。複数のパートナーとの取引は競争を促進し、販売を最大化します。

各段階での戦略を用意し、販売を最大化する取り組みが重要です。状況を十分に把握し、適切な戦略を展開することが成功の鍵です。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
事業推進するための人材やノウハウ・スキルにお困りではございませんか?
15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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