私は25歳の頃から営業を始め、国内や海外を含めて計15年ほど営業に従事してきました。
しかし、30代半ばに至るまで致命的なミスを繰り返していたことに気づきました。
その気づきは、ベトナムのお客様を訪問した際に起こりました。その日は新商品のご案内に行ったのですが、
お客様の一言で全く準備をしていなかったことに気づかされました。
「ところで、他社よりもこの商品の強みは何?」という至極当たり前の質問にまともな回答ができなかったのです。この経験から、セールストークの事前準備の重要性を痛感しました。
今回は、海外で営業する際に準備しておくべき項目についてお伝えします。
ベネフィット感を演出
皆さんは初対面のお客様に営業する際、会社の歴史や技術の説明からしていませんか?
例えば、「弊社はXXXX年に設立しまして、〇〇という製品を製造・販売しております。弊社の強みは△△という技術で…」といった形で、会社の紹介に時間を費やしていませんか?実は、以前の私はこれでした。
お客様は自社の歴史や技術よりも、製品を通して得られる未来(ベネフィット)に興味を持ちます。製品を使うことで得られる利点や、具体的な良い結果についての情報に関心を寄せます。これが具体的に売上・利益向上や費用削減にどのように結びつくかなど、お客様が反応するポイントです。
最初にお客様の興味を引くことが肝要です。特に海外のお客様は迅速に判断する傾向があるため、自社商品が利益に貢献できるという点を明確に伝えると強力です。
できること・できないこと
海外のお客様は、日本とは異なり、時には強引な要求をすることがあります。
例えば、「XXの数量を買うから、値段を半分にしてくれ」とか「アンダーバリューでインボイスを作ってくれ」といったケースがあります。日本人よりも外国人の方が大胆で、肝が据わっている傾向があります。これは良い面もあれば、悪い面もありますが、海外の感覚が世界のスタンダードであることも考えられます。
特に海外取引経験が少ない場合、相手の要求を受け入れがちです。そのため、取引を開始する前に「できること・できないこと」のポリシーを明示することが重要です。これによって、無駄な要求や交渉を回避できます。
競合相手をこちらから指定する
取引において価格交渉は避けられませんが、不毛な価格戦争を避ける方法があります。それは、真の競合他社となる比較相手を事前にお客様に伝えることです。
例えば、自社製品が日本製であるのに対し、お客様が想定している競合他社製品が中国製の安価な製品であれば、値段は半額になるでしょう。しかしこの場合、比較対象が適切でないことが分かります。したがって、見込み顧客となるお客様を選定する際には、自社に適した比較対象(どの競合他社と比較して欲しいのか)を明示することが重要です。
さらに、価格が高い場合はその理由を、安価な場合は提供可能な理由を準備しておくことも重要です。
これにより、お客様に安心感と信頼感を与えることができます。
海外でお客さんと取引を開始するまでには、国内取引と比べ、さまざまな障害があります。
場合によっては数年間の時間を要することはザラにありますが、海外ビジネスにはヒットした時の爆発力がとてもあります。
まとめ
初対面のお客様との営業では、会社の歴史や技術に時間を費やすのではなく、製品を通じて得られるベネフィットに焦点を当てることが重要です。
特に海外のお客様は迅速な判断を求めるため、自社商品が利益に貢献することを明確に伝えることが力を持ちます。また、海外取引では相手の要求に対するポリシーを明確にしておくことが重要です。価格交渉も不毛な戦いにならないよう、競合相手を事前に指定し、価格の理由を説明することで信頼感を築くことができます。
海外ビジネスには時間と労力が必要ですが、成功すれば爆発的な成果が得られます。