vol.55 取引先の在庫月数、ケアしてますか?

最近取引先からの注文が減っている・・・どうも在庫過多になっているようだ・・・
そんな状況に遭遇した経験はありませんか?

どうしても営業をしていると、売れるだけ売りたくなるものです。
しかし、以前押し売りしたことが影響して、未だ在庫をいっぱい抱えている、こんなことが原因かもしれません。
海外で言うと、各国の販売店(ディストリビューター)は、メーカーから商品を購入し、在庫した上でその先の
小売店等へ販売します。

この記事では、海外の販売店と上手に長くお付き合いをするための方法をお伝えします。
この記事を読むことで、あなたがこれまで見えていなかった裏側の部分が理解できます。
今回の記事の結論としてご紹介するのは、「在庫月数」です。

在庫月数の定義

「在庫月数」とは、保有している在庫品を、通常の需要や売上に基づいてどれだけの期間供給できるかを示す指標です。 具体的には、在庫月数は以下のように計算されます。 在庫月数 = 在庫数量/平均月間売上数量  この式では、在庫数量は特定の時点での在庫の量を表し、平均月間売上数量は1か月あたりの平均売上数量を表します。

ちなみに適切な在庫月数を判断するためには、特定の業界や企業の状況、市場の需要パターン、およびサプライチェーンの特性を 考慮する必要があります。一般的には、以下のステップに従って判断されます。
*業界で一般的な在庫月数の標準を測る
*過去の売上データや需要予測から測る
*製品の注文から到着までのリードタイムから測る
*季節性などのトレンドを考慮した上で測る

取引先の在庫状況

取引先が販売店の場合は、訪問時に御社商品の在庫月数を確認するようにしましょう。
ここを確認しないと、なぜ注文が来ないのかを理解できないからです。

在庫月数が短いほど、企業は在庫を迅速に回転させ、資金を効率的に活用していると考えられます。逆に、在庫月数が長い場合、企業の資金が在庫に拘束されている可能性が高く、効率性が低いと見なされることがあります。

例えば、在庫月数が1ヶ月の場合、今持っている在庫は1ヶ月のうちに全て販売しきってしまうことになります。
これでは、突然の需要がきた時に対応できないですよね。逆に、在庫月数が10ヶ月の場合、在庫を持ちすぎの可能性があり、その分売上が立たず資金を寝かしてしまうことになります。これでは特に小規模企業であれば、経営の命取りになり得ます。

従って、取引先の健康状態を定期診断して置く必要があります。在庫持ちすぎにも関わらず、知らずに新たな注文を掛け売りで受けたとしましょう。そして、取引先が支払不能となれば、あなたの会社も損害を被る結果となるからです。

売上はなだらかな右肩上がり

海外における販売が拡大するのは誰でも嬉しいことです。しかし、急激な売上増加の場合は注意が必要です。なぜなら、それが本当に需要に対する供給でない場合があるからです。

例えば付き合いの関係上、多少無理をして注文を入れている可能性もありますよね。
そしてそれがじわじわとボディーブローのように効いてきて、一気に吹き飛ぶなんてこともあるのです。

従って、相手の販売や在庫状況を見極めて、適度な規模感で売上アップを狙っていくのです。今年売上が3倍になって、その反動で翌年売上ゼロになるよりも、毎年着実に前年比10%アップした方が取引が健全であり、財務状況も健康的な感じが想像できますよね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。もしこれまで意識したことがなければ、新たな着眼点として取り入れてみることをお勧めします。このように、他の記事でも海外営業におけるチェックポイントを配信しておりますので、是非ご覧ください。

  1. 在庫月数の定義
    在庫月数は、企業が持っている在庫品を通常の需要や売上に基づいてどれだけの期間供給できるかを示す指標です。具体的には、在庫月数は在庫数量を平均月間売上数量で割った値です。適切な在庫月数を判断するには、業界や企業の状況、需要パターン、サプライチェーンの特性を考慮し、業界標準や過去のデータ、リードタイム、季節性などの要因を考慮して判断します。
  2. 取引先の在庫状況の確認
    取引先が販売店の場合、御社商品の在庫月数を確認することが重要です。在庫月数が短いほど迅速に在庫が回転し、効率的に資金が活用されている可能性が高く、在庫月数が長い場合は、企業の資金が在庫に拘束されている可能性があります。定期的な取引先の健康状態の診断が必要です。
  3. 売上のなだらかな右肩上がり
    売上が急激に増加する場合は注意が必要です。急激な売上増加が持続的な需要に基づくものでない場合、将来的なリスクがあります。安定した成長を目指し、適度な規模感で売上を増やすことが重要です。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
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15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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