海外駐在に興味あるけど、なんか大変そうだなと考えておりませんか?本日はそんな二の足を踏んでいる新社会人になる方、もしくは会社側から言い渡されて、海外事業を担当しなければいけない方を対象に海外駐在をやっていてよかった点という切り口でお伝えします。
今では約20年の海外ビジネス経験がありますが、実は大学の頃まで海外駐在はおろか、英語すれ全く喋れませんでした。自慢じゃないですが、大学4年の頃に受けたTOEICのスコアは330点という絶望的な状況でした(笑)。それでも世界に向けて仕事をするのってかっこいいという思いから始めて、これまでの間でやっててよかったという点を3つ厳選してお伝えします。
今回は仕事軸上の話というより、人生軸上においてのお話となります。といっても人生に影響を与えるということは、仕事観にも影響を与えることは大いにあります。この記事で何か良いきっかけがあれば、作者の私としても嬉しい限りです。
日本の素晴らしさ
普段日本に住んでいて、朝出勤のために電車を利用して会社に出社し、お昼は美味しい社食を食べ、帰りは地元の駅の行きつけの飲み屋さんでちょっと楽しんで。そして夜も深くなれば飲み屋から歩いて自宅へ。こんな日常を過ごしている方もいらっしゃることでしょう。あまり不便に感じませんよね。この当たり前の状況が実は海外ではなかったりします。
ちょっと大げさな表現はありますが、例えばこんな感じです。朝出勤のため駅に行くと路線が少なく周辺住民が駅へ殺到し、電車を待つ乗客の列は駅の構外まで続いている有様。電車は時間通りに来ず、時刻表はあってないようなもの。仕方なしにタクシーを捕まえようにも道路も渋滞して動かない。さらに車の排ガスによるモヤが街を覆っており、健康被害も多い。
夜道を歩いて帰るのは場所によってはとても危険で、事件に巻き込まれること可能性が高い。常に背後を気にして歩くか、近距離でもタクシーを使って帰ることも。日本って本当に平和で良い国だなということを外国に住んで気づく方も多いんですが、改めて日本の素晴らしさを感じられる瞬間でした。
自分の国への誇り
私が30歳の時、取引先であるA社があるベトナム・ホーチミンに出張した時のことです。当時私はベトナムに訪問すること自体が初めてであり、ベトナムに関する歴史を知りませんでした。そこでA社のベトナム人担当者が時間を作ってくれ、ベトナム戦争証跡博物館に連れて行ってくれました。驚くことに若干20歳の彼が博物館内の映像や写真、実物などを一つずつ説明してくれ、何が起こったのかを熱く語ってくれました。
そして一通りの見学を終えて、博物館の出口へ向かう時の彼の一言が未だに忘れられません。それは「あなたは日本の歴史のことをちゃんと人に伝えられますか?もし知らないのであれば、自分の国のことを誇りに思うことができません」と。
この言葉以前の私は歴史なんて覚えても意味がないと思っていたぐらいでしたが、率直に自分の国のことをもっと知りたい、そして日本の若い世代や海外の人々にも語れるようになりたいと思えるきっかけとなりました。結果とその結果に至った背景という因果関係を理解することは歴史のみではなく、仕事においても役立てられます。この感覚に気づかせてくれたベトナムの若者には今でも感謝しております。
外国人からの学び
外国人の着想から学ぶことは、現代のビジネス環境において非常に価値があります。異なる文化や背景を持つ人々との協働は、新しい視点や創造的なアイディアをもたらし、組織の競争力を高める要因となります。例えば、多国籍チームでのプロジェクトは、問題解決のアプローチが多様化し、革新的な解決策が見出されることが多いです。
外国人社員との協働は、柔軟な思考や異なる視点を取り入れる機会を提供します。これにより、製品開発やマーケティング戦略、そしてデザイン性などがグローバル市場に適応しやすくなります。私個人的には欧州のプレゼンテーションや営業資料を見ると洗練されたものを感じ、新たな視点を学ぶことが出来ました。
さらに、外国人の着想から学ぶことは、個々の成長にも繋がります。異なる文化的背景を持つ同僚から学ぶことで、コミュニケーション能力や異文化理解が向上し、国際的なビジネス展開において重要なスキルが養われます。総じて、外国人の着想を取り入れることは、企業の成長と個人のキャリアアップにおいて不可欠な要素です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は私自身の経験から海外駐在からの気づき3選をお伝えしました。
少し前は、大手商社の新入社員の中でも海外駐在があるのであれば、会社を辞めるというケースがあるということを聞き、びっくりしたことがあります。なぜなら商社であれば海外駐在が前提であることは多いからです。
それを聞いた時、私自身は心の中で『とってももったいない』と思いました。もちろん、駐在する国によっては生活環境や仕事環境がハードな場合もあるため、相当な苦労をされることはあるのですが、身の安心安全な環境が確保された状態であれば、そのハードであった経験を人に語れること自体、財産になるのです。
是非ともその自分しか経験・体験したことがない財産をみんなに語って行ってください。きっと先駆者としてお話を聞きたい人はいっぱいいると思います。