vol.85 タイの小売ビジネス

タイは東南アジアに位置する魅力的な市場であり、経済の多様性と急速な成長が注目されています。特に小売業はタイ経済の重要な一部であり、多様な形態の小売店が存在しています。シンガポールやマレーシアを除く他の東南アジア諸国では依然として個人商店(個人で経営するお店)が数多く占める中、タイではいち早くチェーンストア網が発達しており、例えばコンビニでいうとセブンイレブンはタイ全土で見かけることができます。

本記事では、タイの主要な小売店形態と、それに伴うビジネスチャンスについて探ります。

1. 伝統的な市場

タイには、地元の文化と風味を感じることができる伝統的な市場が多く存在します。これらの市場は、地元の農産物や手工芸品、衣類などを販売する場として長い歴史を持っています。バンコクのチャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットや、チェンマイのナイトバザールはその代表例です。観光客にも人気が高く、地元経済に重要な役割を果たしています。小規模ビジネスにとって、こうした市場はユニークな商品や体験を提供することで顧客を惹きつける理想的な場所です。

2. コンビニエンスストア

タイの都市部では、コンビニエンスストアが至る所にあります。セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートなどの国際的なチェーンが主要なプレイヤーですが、地元のチェーンも成長しています。これらの店舗は、24時間営業であり、日常品や軽食、飲み物を手軽に購入できるため、多忙な都市生活者にとって欠かせない存在です。特に、都市化が進む中でコンビニエンスストアの需要は増加しており、フランチャイズビジネスとしても魅力的です。

3. ショッピングモール

バンコクやプーケットなどの主要都市には、大規模なショッピングモールが多数あります。これらのモールは、単なる買い物の場としてだけでなく、娯楽や食事、社交の場としても機能しています。例えば、バンコクのセントラルワールドやサイアムパラゴンは、その巨大な規模と豊富なブランドラインナップで知られています。これらのモールには、国際的な高級ブランドから地元のデザイナーショップまで、多岐にわたる店舗が集まっており、国内外の観光客を惹きつける一大観光スポットでもあります。

また東南アジアではDONDONDONKI(日本のドンキホーテ)がその勢力を拡大しており、タイでは2024年8月現在8店舗展開しております。そのうちバンコクの高級エリアであるトンロー店はDONKI MALLも併設しており、日本製商品を販売する小売店や日本食レストランなどのテナントが集結しており、タイ人中間層以上を中心に集客に成功しております。ショッピングモールは、テナント企業にとっても大規模な集客効果を享受できる魅力的な場所です。

4. ナイトマーケット

タイのナイトマーケットは、特に観光客に人気があり、夕方から夜にかけて開催される市場です。ここでは、食べ物、衣類、アクセサリー、手工芸品などが販売され、地元の人々と観光客が一緒に楽しむ場となっています。バンコクのアジアティーク・ザ・リバーフロントやチェンマイのサタデー・ナイト・マーケットは、その賑わいと多様な商品で有名です。ナイトマーケットは、特に新興ビジネスやスタートアップにとって、低コストで顧客の反応を試す場として理想的です。

5. オンライン小売

近年、タイではオンライン小売が急速に発展しています。Lazada、Shopeeといったプラットフォームが市場をリードしており、特に若い世代や都市部の消費者に人気です。COVID-19のパンデミックにより、オンラインショッピングの需要はさらに高まり、デジタルマーケティングやeコマース戦略が重要となっています。オンライン小売は、物理的な店舗を持たないビジネスでも広範な顧客基盤にアクセスできるため、非常に魅力的なビジネスモデルです。

6. ローカルチェーンストア

タイには、地元の企業が運営するチェーンストアも多数存在します。これらの店舗は、タイの消費者の嗜好や文化を深く理解しており、独自の商品ラインナップやサービスを提供しています。例えば、Big CやTesco Lotusなどのスーパーマーケットチェーンは、食品から日用品まで幅広い商品を取り扱い、都市部から地方まで広範なネットワークを持っています。ローカルチェーンは、地元企業にとって顧客との信頼関係を築きやすいプラットフォームです。

まとめ

タイの小売市場には多くのビジネスチャンスが存在しますが、同時に競争も激しいです。成功するためには、市場の動向を把握し、消費者のニーズに応える柔軟な戦略が求められます。特に、デジタル化と持続可能性が今後の重要なキーワードとなるでしょう。オンラインとオフラインを融合させたオムニチャネル戦略や、環境に配慮した商品やサービスの提供が求められています。

タイの小売市場は多様でダイナミックです。伝統的な市場から最新のオンライン小売まで、さまざまな形態の小売業が共存しています。各形態の特性とビジネスチャンスを理解し、適切な戦略を採用することで、タイの小売市場での成功を掴みましょう。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
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15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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