vol.106 経済連携協定とは?

世界の経済連携協定(Economic Partnership Agreements, EPA)は、貿易や経済交流を促進するために、複数の国や地域間で結ばれる協定です。これらの協定には、貿易自由化、関税削減、投資促進、知的財産の保護、規制の調和などが盛り込まれており、協定に参加する国々の経済を相互に強化することを目的としています。以下は、主要な経済連携協定を紹介します。

日本の経済連携協定

自由貿易協定(FTA)

自由貿易協定(FTA)は、加盟国間で関税や貿易障壁を撤廃または削減し、商品やサービスの自由な移動を促進する協定です。FTAは、経済の国際化を加速させ、貿易を促進します。FTAの例には、以下のものがあります:

  • 北米自由貿易協定(NAFTA):アメリカ、カナダ、メキシコ間で結ばれた協定で、1994年に発効しました。2020年にUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に改訂されました。
  • EU-韓国FTA:EUと韓国の間で締結されたFTAで、2000年に発効しました。両地域間の貿易関係を深化させることを目的としています。

経済連携協定(EPA)

経済連携協定(EPA)は、FTAに加えて、貿易だけでなく投資やサービスの自由化、労働・環境保護規制の強化などを含んだ協定です。EPAは、相手国との経済的結びつきを深め、包括的な経済関係を構築することを目指します。代表的なものには以下があります:

  • 日本・EU経済連携協定(EPA):2019年に発効したこの協定は、関税削減や規制の緩和だけでなく、環境や労働基準にも配慮しており、世界で最も大きな自由貿易圏を形成しました。
  • 日本・インドネシアEPA:2019年に発効し、インドネシアと日本の貿易や投資の促進を目的とした協定です。

地域的包括的経済連携(RCEP)

  • RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)は、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と、韓国、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの計15カ国が参加する貿易協定で、2020年に署名されました。RCEPは、世界の人口の約30%、GDPの約30%を占める地域を対象としており、貿易の自由化、投資の促進、サービス貿易の改善、電子商取引の拡大などを目指しています。

環太平洋経済連携協定(TPP)

  • TPP(Trans-Pacific Partnership)は、もともとアメリカを含む12カ国で交渉された貿易協定で、アジア太平洋地域の経済統合を目指しましたが、アメリカの離脱により、日本を中心に11カ国で交渉が続き、CPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)として2018年に発効しました。CPTPPは、関税の削減やサービス貿易の自由化、知的財産権の強化を含む広範な内容が特徴です。

経済連携のメリット

ASEAN諸国との経済連携

上図のように、ASEAN各国とはすでにさまざまな枠組みにおける経済連携協定を締結済です。
例えばベトナムとは、日本との2国間、RCEP、ASEAN、TPPなど複数に跨がっております。

気をつけたいのは、仮に同じ輸出商材(同じHSコード)だとしても、関税率が使用する枠組みに
よって変動する可能性
があるため、Rules of Origin Facilitatorなどの関税を調べるサイトで
都度確認するようにしてください。

経済連携協定の活用メリット

なんといっても輸入関税がかからないことによる価格競争力の向上、また仕入コスト低減による
注文の増加への期待
が言えるでしょう。

例えば、あなたが日本から製品を輸出する輸出者だとして、製品をベトナムに輸出します。
輸入者であるベトナムのディストリビューター側からしてみれば、EPAの恩恵がない場合は
輸入関税20%だとした場合、その分が無税となるため輸入者にとっては輸入しやすくなり、
輸入地においては他外国製と比較し価格競争力が上がり、販売しやすくなります。

また免税となった分、輸入する側としては仕入コストも抑えられるため、その分追加発注
することも考えられます。この場合、受注を受ける日本側輸出者も売上が向上するため、
その恩恵を受けることができます。

まとめ

日本は世界各国と幅広くEPA/FTAを締結しております。
輸出ビジネスの活性化に向けての環境はどんどん良くなってきております。
また昨今の円安も輸出者側にとってはメリットがあります。

また世界中で締結されている経済連携協定は、貿易の自由化や経済の相互依存を促進し、各国の経済成長に貢献しています。これらの協定は、関税の削減にとどまらず、投資、サービス、知的財産、労働条件など幅広い分野に影響を与え、国際的な経済環境を形作る重要な要素となっています。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
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15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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