vol.105 ASEAN植民地時代の歴史を考察

ASEANとは、東南アジア諸国連合の10カ国から構成されております。
シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、カンボジア、
ラオス、ブルネイ(*東ティモールは現在オブザーバーとしての位置付け)

そんなASEANですが、前回のブログでは地理的な観点から考察してみましたので、併せてご覧ください。
今回はASEANの歴史にフォーカスしたいと思います。ASEANと言えばやはりさまざまな国からの植民地化
という歴史は切っても切り離せないですよね。なぜならばその影響が現在の文化や生活にそのまま
残っているからです。

当然、植民地化といえば、やはり侵略や統治というイメージが付きまといますし、当時の原住民の
方々への影響は計り知れません。一方で、植民地化を行なった国の食文化や道路環境もそのまま残され
ており、過去の歴史を物語っております。そんな歴史を振り返ってみることにします。

下の表「植民地時代(18〜19世紀)」をご覧ください。
ご覧の通り、ASEAN10カ国中、なんと9カ国において植民地化されていたことをご存知ですか?
植民地化とは、ある国や勢力が他の地域や国を支配下に置き、政治的、経済的、文化的に支配・管理することを指します。

日本は歴史的に他国からの植民地支配を受けたことがほとんどなく、アジアの国々の中では例外的な存在です。しかし、幕末から明治初期にかけては、アメリカやヨーロッパ列強からの影響と圧力を受け、半植民地的な状況に近づいた時期もありました。教科書でよく知るところでは、1853年のペリー来航(黒船来航)ですよね。

インドネシア

  • オランダ植民地:インドネシアは17世紀初頭からオランダの支配下に置かれ、オランダ東インド会社が経済活動を支配しました。19世紀にはオランダ本国の植民地として、インドネシア全土が支配されました。オランダはインドネシアの天然資源を搾取し、特にコーヒー、タバコ、ゴムなどのプランテーション農業を推進しました。
  • 独立:第二次世界大戦後、インドネシアはオランダに対して独立戦争を戦い、1945年に独立を果たしました。

フィリピン

  • スペイン植民地:フィリピンは1565年からスペインの植民地となり、約300年間にわたり支配されました。スペインはキリスト教を広め、フィリピンの文化や社会制度に大きな影響を与えました。教育、宗教、法律などがスペインの制度に基づいて整備されました。
  • アメリカの支配:1898年にアメリカがスペインからフィリピンを奪い、その後アメリカの支配下に入りました。アメリカは教育制度やインフラを整備しましたが、フィリピンの独立運動が強まりました。
  • 独立:1946年にフィリピンはアメリカから独立を果たしました。

マレーシア

  • イギリス植民地:マレー半島(現在のマレーシアの一部)は、18世紀末から19世紀にかけてイギリスの支配下に入りました。イギリスは経済的に発展させるためにゴムや錫の生産を促進し、多くのインディアンと中国人を労働力として移住させました。また、マレーシアは戦略的な位置にあったため、イギリスはこの地域を軍事的にも重要視しました。
  • 独立:マレーシアは1957年に独立し、1963年にはマレーシア連邦として新たな国家形態を成立させました。

シンガポール

  • イギリス植民地:シンガポールは1819年にイギリスによって港として開発され、急速に貿易拠点として発展しました。シンガポールはイギリスの植民地として経済的に繁栄し、アジアとヨーロッパを結ぶ貿易の中心地となりました。
  • 独立:1963年にマレーシアと合併してマレーシア連邦の一部となりましたが、1965年にはシンガポールは独立して完全に独立した都市国家となりました。

タイ

  • 独立を維持:タイ(当時はシャム)は、ASEAN諸国の中で唯一、欧米列強の植民地化を免れた国です。タイは、周辺の植民地化された国々とバランスを取ることで、独立を維持しました。特に、イギリスとフランスとの外交交渉を通じて、領土を守ることに成功しました。
  • 近代化と改革:19世紀末から20世紀初頭にかけて、タイは西洋の技術や制度を取り入れ、近代化を進めました。

カンボジア

  • フランス植民地:カンボジアは1863年にフランスの保護領となり、フランスの支配下で約90年間続きました。フランスはカンボジアの行政制度を変革し、インフラの整備や教育の普及を進めましたが、経済的にはフランス本国の利益に従属する形となりました。
  • 独立:1953年にカンボジアはフランスから独立を果たしました。

ラオス

  • フランス植民地:ラオスはフランスのインドシナ連邦の一部として植民地化されました。フランスはラオスに対しても経済的搾取を行い、交通インフラの整備や農業改革を進めましたが、現地住民の多くは貧しい生活を強いられました。
  • 独立:1954年にラオスはフランスから独立を果たしました。

ミャンマー(ビルマ)

  • イギリス植民地:ミャンマーは19世紀にイギリスにより植民地化されました。イギリスはビルマをインド帝国の一部として支配し、農業や鉱山業を中心に経済を発展させましたが、その間に多くの現地住民が犠牲となりました。
  • 独立:1948年にビルマはイギリスから独立を果たしました。

ベトナム

  • フランス植民地:ベトナムはフランスによって19世紀末に植民地化され、フランス領インドシナの一部となりました。フランスはベトナムの経済資源を搾取し、農業や労働力を自国の利益に供しました。
  • 独立戦争と独立:第二次世界大戦後、ベトナムは独立を求めてフランスに対して戦い、1954年に独立を勝ち取ることができました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?歴史好きな人であれば当たり前の話かもしれませんが、意外と知らない方は多いのではないでしょうか?以前、ベトナムに初めて出張に行った時のことです。ベトナム人に連れられて、ホーチミンにある歴史博物館に行った時、その彼が最後に言ったことが今でも記憶に残っております。

それは、「自分の国の歴史を知らなければ、自分の国を好きになることはできないよ」と。
それまで歴史に関心のなかった私は、その言葉を聞いて必死で日本の歴史を勉強しました。
そしてこれは例えばビジネスパートナーとなる相手の国のことに関しても言えると思います。

相手のことを深く理解しようと思ったら、相手の国の歴史や文化、生活のことにより関心を持つことが
大事なのではないかと。日本に来る外国人が日本人のようにお辞儀したら、理解してくれてると思い、
多少なりとも親近感が湧くのではないでしょうか。

話を戻しますと、ASEANの国々は、欧米列強による植民地化を長期間にわたり経験し、その影響は現在でも多くの面で残っています。植民地時代の影響は、経済構造、政治体制、社会制度、文化に深く刻まれており、各国の独立後もその後の発展において重要な役割を果たしています。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
事業推進するための人材やノウハウ・スキルにお困りではございませんか?
15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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