vol3. 新規事業スタートラインの考え方

既存事業の売上が頭打ちで、拡張の限界を感じている企業は少なくありません。
そのような状況下で、第2の柱を築くために新規事業への挑戦を考えるのは至極理解できることです。

ただし、新規事業に参入する際には、既存の資源を活かすことが重要です。
例えば、これまで製造業に従事してきた企業がIT分野に参入する場合、全くの未経験状態から出発することになります。

そのため、IT分野での競争力を築くために必要なノウハウや技術を習得し、他社との差別化を図るには時間がかかるでしょう。

さらに、収益が得られるまでには相当の時間がかかるため、経費は発生し続けます。
この長期間にわたる収益の不安定さは、企業にとって大きな負担となります。

新規事業への参入を検討する企業にとって、スタートラインは重要な段階です。
その際には、以下のアイディアの切り口を意識することが重要です。

目的と手段の再確認

新規事業への挑戦を考える際に、まず初めに考えていただきたいのは、なぜその新規事業に取り組むのかということです。
その目的として最も一般的なのは、利益の確保や拡大でしょう。

利益を拡大するためには、現在の固定費の見直しも効果的です。つまり、必要以上に支出している部分を見つけ出し、
削減することで利益を増やすことができます。

また、余剰資金を有効活用することも重要です。例えば、保険への過剰な支払いや不要な投資を見直し、
浪費を減らすことで貯蓄力を高めることができます。

さらに、余剰資金を株式運用などに回すことも考えられます。適切な運用を行えば、その資金を増やすことができ、
営業外収益として利益に貢献することが可能です。

これらの取り組みは、お金を貯める力や増やす力に関係しており、賢く資金を活用することで利益の拡大につながるでしょう。

また財務状況の見直しや税務の相談も重要です。顧問税理士などの専門家と相談することで、より効果的な財務戦略を立てることができます。

新規事業のスタートライン

本業の儲けを伸ばす時には、まずゴールとスタートラインの位置を考えてみましょう。

このスタートとゴールの距離感=収益化(回収)までの期間に関係してきます。

ド新規コース

「一から完全自前主義でノウハウを溜めて事業化まで持っていくパターン」は、スタートからゴールまでの距離が長く、それには一定の時間が必要です。

このアプローチでは、まず新しい業界における戦略を知るために市場調査が不可欠です。その後、コネクションの構築、お客さんのニーズの把握、競合他社の提供価値の分析、自社の差別化ポイントの構築など、慎重にプロセスを進めていく必要があります。

この過程で、十分な時間と資金が必要であり、比較的余裕を持った状態で新規事業に取り組むことができます。自前の従業員を駆使して、ノウハウと経験を積み上げ、将来的に大きな成果を上げたいと考える企業にとっては、理想的なアプローチでしょう。

既存ノウハウ展開コース

「すでに既存事業で培ってきたノウハウを、横展開して新たな市場を狙っていくパターン」は、スタートラインが短く、その分ゴールまでの距離も短くなるため、早期収益化が期待できます。

例えば、高齢者向けに介護施設を運営してきた企業が、人の『お世話』という部分で専門家であるとします。この『お世話』部分を活かして、顧客ターゲットを共働きで忙しい世帯に向けて家庭の『お世話』を提供することが考えられます。

この場合、既に高齢者をお世話できるノウハウを持っているため、家事代行などの新たな事業に参入する際に、「長年人のケアを経験してきた私たちだからできる」という説得力のあるメッセージを打ち出すことができます。

他社コラボコース

ゴールに向かうためには、自社の持ち合わせているノウハウと他社のノウハウを組み合わせ、それぞれの強みを活かした協業が重要です。これにより、ゴールまでの距離を効果的に縮めることができます。

具体的には、「餅は餅屋」という理論に基づいて、自社が持つノウハウに加え、他社の持つノウハウを活用します。

例えば、自社が企業の海外赴任者向けに1週間の赴任研修を提供したいと考えた場合を考えてみましょう。提供するコンテンツは「マネジメント研修」と「実践英語研修」になります。自社はこれまでに企業向けにマネジメント研修を提供してきた経験がありますが、実践英語研修に関してはノウハウが不足しています。

そこで、他社の力を借りて実践英語研修を充実させることで、即効性のある商品を提供し、新たな顧客ターゲットの開拓・獲得により売上の向上を図ることができるでしょう。

まとめ

多くの企業が日々の業務に追われる中、自社の業務や強みを俯瞰的に見直すことは難しいですね。定期的な社内コミュニケーションを通じて、
お客様からの嬉しい感想や従業員の悩みなどに触れることは、新たな気づきを生み出す重要な機会です。

また、外部の視点も貴重です。自社だけでは気づけないことを外部の人に聞くことで、新たな視点やアイディアが得られることがあります。
新規事業を考える際には、自社の経営資源(人材・物品・資金)を活用してどのような取り組みが可能かを考えることが重要です。

この切り口からアプローチすることで、新たなビジネスのヒントや方向性が見えてくるかもしれません。
経営資源を有効活用し、新たな可能性を探求することで、企業の成長や発展に繋がることでしょう。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
事業推進するための人材やノウハウ・スキルにお困りではございませんか?
15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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