「超★ドンブリ経営のすすめ」は、(株)ワニマネジメントコンサルティング代表取締役和仁達也氏の著書で、
会計や経営数字に苦手意識を持つ人にも分かりやすいツールです。
私も以前の会社で経営者として経営数字に向き合い、安全性・収益性・効率性分析ツールを学びました。
しかし、ツールの意味は理解できても、次にどのようなアクションを取れば良いかが不明瞭でした。
キャッシュフロー経営は、その点で優れています。それを使って、経営の意思決定をどう活かすか
具体的な方法を以下に示します。
粗利率をチェック
営業を担当する中で、売上に注力して利益を見逃すことがありますよね。私も経験があります(笑)。
しかし、改めて考えると、企業は利益を追求する存在であるため、粗利を優先すべきだと感じます。
なぜなら、人件費や経費(家賃、水道光熱費、広告費など)の源泉は粗利から生まれるからです。
また、粗利率を業種平均と比較すると、企業の健全性や競争力が見えてきます。例えば:
- 卸売業:15%
- 小売業:30%
- 製造業:50%
- 飲食業:70%
自社の粗利率がどの程度かを把握することで、経営の課題や改善点が明確になります。
さらに、粗利率を1%上げる努力は、固定費を差し引いた後の利益に大きな影響を与えます。
そのためには、値引き販売を避けることや価格の見直し、仕入れや材料の価格交渉などが重要です。
利益を最大化するために、粗利率向上に向けた戦略的なアクションが不可欠です。
労働分配率をチェック
労働分配率は売上のように明確な数字ではないため、見落とされがちですが、実は非常に重要な指標です。
なぜなら、企業の費用の大部分は人件費にかかっているからです。労働分配率は「人件費/粗利」で計算され、業種によって異なりますが、一般的な傾向は以下の通りです。
- 40%: 比較的小さな人件費で大きな利益を生む企業
- 50%: 大多数の企業がこの範囲にあります
- 60%: 比較的大きな人件費で利益が小さい企業
- 80%: コンサル業など、人材に大きく投資している企業
業種の平均を調べることで、自社のポジションを把握できます。また、人件費を変えずに粗利を増やしたい場合は、従業員の生産性向上が必要です。
業務プロセスの効率化やマニュアル化などを進め、生まれた時間を売上向上に貢献させることで、粗利を増やしつつ労働分配率を下げることが可能です。
売上をチェック
最後に、売上向上の重要性が明確ですね。キャッシュフロー経営の基盤となるのが「売上」です。これがなければ費用のカバーも利益の獲得も不可能です。では、売上を増やすにはどうすれば良いのでしょうか。
以下のアプローチが考えられます:
- 顧客獲得:新規顧客の獲得を増やす
- 客単価向上:価格の引き上げや販売数量の増加を通じて客単価を向上させる
- リピート率向上:既存顧客のリピート率を高める
これらの戦略はマーケティングの範疇ですが、キャッシュフロー経営を視覚化し、改善すべきポイントを見極めることが肝要です。
まとめ
上記の指標を意識することで、企業経営の基盤を強化し、持続可能な利益を追求できます。
特に、粗利率の向上は企業の競争力を高め、労働分配率の最適化は効率的な人材活用を促進します。
売上増大には、顧客獲得やリピート率向上といった戦略が必要ですが、これらはキャッシュフロー経営の基本を支える重要な要素です。
常に経営指標を意識して、組織全体で効果的な改善策を検討することが重要です。