言葉ではASEANってよく聞くけど、みなさんはASEAN諸国は何カ国あって、どこの国か答えられますか?
普段あまり意識しないので、分からない方が多いかと推測します。
最近では2024年10月10-12日の日程で、石破茂総理が総理就任後初外交のため、東南アジアのラオスを訪問。
日・ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議や東アジアサミット(EAS)に出席しました。
総理の初外交としてASEANを選んだということはそれだけ重要だということなんです。
ASEANはAssociation of South East Asian Nationsの略で、日本語では東南アジア諸国連合といわれます。
加盟国は現在10カ国あり、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、
ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイとなり、東ティモールはオブザーバーとしての地位が与えられ、
会議への出席が認められております。
大陸部5カ国
大陸部にはミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの5カ国で構成され、地理的にも
昔から西はインド、東は中国からの文化や生活様式、言語などの影響を大いに受け、発展してきました。
宗教と信仰
- 仏教:これらの国々では、上座部仏教(小乗仏教)が主流で、仏教は社会と生活に深く根付いています。寺院は各地に点在し、特にタイ、ミャンマー、カンボジアでは僧侶が尊敬され、日常の儀式や祭りにおいて重要な役割を果たしています。
- 他宗教の共存:ベトナムでは仏教に加え、道教や儒教の影響も見られ、カオダイ教やホアハオ教など独自の宗教も発展しています。各国では民族や地域により、ヒンドゥー教や精霊信仰も受け入れられており、これが文化に多様性をもたらしています。
言語と文字
- 各国にはそれぞれ独自の言語と文字があり、タイ文字、クメール文字(カンボジア)、ビルマ文字(ミャンマー)など、独自の表記体系が発展しています。ラオス語とタイ語は類似性が高く、言語を通じて文化の共通点が感じられます。
- ベトナム語は、フランス植民地時代にラテン文字が導入されたため、他国とは異なり、アルファベット表記が使われています。
食文化
- 米とスパイス:米は主食として共通し、各国での食事に欠かせません。タイ料理やベトナム料理では、ハーブやスパイスが多く使われ、香りと風味が豊かな料理が特徴です。
- 発酵食品:ラオスやカンボジア、ベトナムでは魚を発酵させた調味料「プララー(ラオス・カンボジア)」や「ヌックマム(ベトナム)」が使われ、地元料理に独特の風味を添えています。
祭りと伝統行事
- 各国共通で、仏教行事としての正月(タイの「ソンクラン」、ラオスの「ピーマイ」、ミャンマーの「ティンジャン」)が祝われ、水をかけ合って無病息災や幸運を願います。
- ベトナムの「テト」やカンボジアの「プチュムベン」といった独自の伝統的な正月行事もあり、先祖供養や新年の祈願が行われます。
農産物
- 米:ASEAN大陸部は世界的な米の生産地で、特にタイとベトナムは主要な輸出国です。メコンデルタ(ベトナム南部)は米の一大生産地で、米の国内消費および輸出に大きく貢献しています。タイのジャスミンライスなどの高品質米はアジア市場や世界で人気です。
- 果樹・商品作物:温暖な気候を活かし、ドリアン、マンゴスチン、マンゴーといった熱帯果物が豊富に栽培されています。また、ゴム、カシュー、サトウキビなどの作物も栽培され、これらは国内消費だけでなく輸出も盛んです。
- 野菜と豆類:キャベツ、トマト、豆類などの栽培も一般的で、特に国内の食料供給を支えています。また、豆類は輸出品としてインドなどの近隣諸国にも供給されています。
林産物
- ゴム:タイ、カンボジア、ミャンマーではゴムの木の栽培が広がっており、天然ゴムは輸出において重要な品目となっています。タイは世界でも有数の天然ゴム生産国であり、特に自動車産業向けの需要が高いです。
- 木材と竹:ミャンマーやラオスには豊かな森林資源があり、木材の伐採や竹の採取が行われています。木材や竹製品は建材や工芸品として国内消費のほか、一部は輸出用にも使用されますが、持続可能な森林管理が重要な課題となっています。
水産物
- 淡水魚とエビ:メコン川流域を中心に、ナマズ(パンガシウス)やエビの養殖が盛んです。メコンデルタ地域では、特にエビとナマズの養殖が広がり、輸出向けの重要な品目となっています。これらの水産物は、近年急増する国際需要に応えるため、技術革新が進んでいます。
- 海産物:ベトナムやタイでは、海岸沿いでのエビや魚介類の養殖も行われており、ASEAN域内および世界市場向けに輸出されています。カンボジアなどでは漁業も盛んであり、沿岸や内水面での漁業が地域住民の生活を支えています。
島嶼部(とうしょぶ)5カ国
島嶼部の5カ国はインドネシア、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、フィリピンで構成され、海洋に囲まれた
地理的な理由により、中東や欧州、太平洋をつなぐ海上交通の要衝として、貿易が発展しました。
ASEANの島嶼部5カ国(インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ブルネイ)は、海洋に囲まれた地理的な環境から、豊かな自然資源と多様な文化的伝統を持つ地域です。それぞれの国には独自の文化、宗教、生活様式がありますが、共通の特徴も多く見られます。
宗教と信仰
- イスラム教:インドネシアとマレーシア、ブルネイではイスラム教が主要な宗教であり、特にインドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を有しています。イスラム教は社会規範や文化、日常生活に深く根付いており、ラマダンやハリラヤなどの宗教行事が大切にされています。
- キリスト教:フィリピンではカトリック教が主流であり、クリスマスやセマナサンタ(聖週間)などの行事が盛大に祝われます。スペイン植民地時代の影響を受け、キリスト教文化が強く根付いています。
- 多宗教共存:シンガポールは多文化国家で、イスラム教、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教などが共存し、民族ごとに異なる宗教と伝統が尊重されています。
言語と多文化社会
- 各国は多民族・多言語国家であり、公用語や使用言語が多様です。インドネシア語、マレー語、タガログ語、英語が各国で使用され、シンガポールでは英語、中国語、マレー語、タミル語が公用語とされています。
- シンガポールやマレーシアは中華系、インド系、マレー系などの異なる文化が共存しており、多民族による豊かな文化的調和が特色です。
食文化
- 海産物:島嶼部の特性から、魚介類が豊富で、フィリピンやインドネシアでは魚やエビ、貝などが日常の料理に取り入れられています。
- スパイスとココナッツ:インドネシアやマレーシアでは、スパイスやココナッツミルクを使った料理が主流で、「ルンダン」や「サテ」などの料理が有名です。フィリピンでは酢を使った「アドボ」や「シニガン」など酸味のある料理も親しまれています。
- 多国籍料理:シンガポールでは中華、インド、マレー、洋食など多国籍料理が楽しめるホーカーセンターが一般的で、多様な食文化が共存しています。
伝統芸能と文化
- 舞踊と音楽:各国には民族固有の伝統舞踊と音楽があり、インドネシアの「ガムラン」や「バリダンス」、フィリピンの「ティニクリン」、マレーシアの「ディキル・バラット」などが代表的です。これらの芸能は伝統的な儀式や祭りの際に演じられ、地域社会のアイデンティティを象徴しています。
- 影響を受けた文化:スペイン、オランダ、ポルトガル、イギリスなどの植民地時代の影響が建築や言語、文化に反映されており、伝統と現代文化が融合した多様性が見られます。
祭りと伝統行事
- 各国でイスラム教やキリスト教の行事に加え、伝統的な民族行事も多く祝われます。インドネシアとマレーシアでは、イスラム教のラマダン明けの祭り「ハリラヤ」が盛大に祝われ、フィリピンではキリスト教に基づく「シヌログ祭」などが大規模に開催されます。
- シンガポールでは、旧正月(春節)、ディーパバリ、ハリラヤ、クリスマスなど、民族ごとの祝祭が国全体で盛り上がり、文化の多様性が体現されています。
まとめ
このようにASEAN10カ国においても、大陸部と島嶼部に分類することができ、大陸から伝わるもの、
海洋から伝わるものによって、それぞれの国において文化や生活が形成されてきたことがわかります。
ビジネスにおいても、その国の成り立ちや背景を理解し関心を持つことで、ビジネスパートナーからも
受け入れられやすく、一歩踏み込んだ関係を構築しやすくなります。関心を持つことから始めましょう。
下の表はASEAN各国の概要をまとめたものです。この表を通して、より関心を持てることに深掘りして
みてください。