vol.97 急成長ASEAN市場の攻略:成功と失敗事例から学ぶ

ASEAN(東南アジア諸国連合)市場は、経済成長の著しい地域として多くの企業にとって注目の的です。多様な文化やビジネス環境が混在し、各国の特性を理解することがビジネス成功の鍵となります。本記事では、ASEAN市場を攻略するための基本的なアプローチと、実際の成功事例および失敗事例から学べるポイントを解説します。

ASEAN市場の魅力とは?

ASEAN市場は、以下のような魅力を持っています。

  • 人口増加と若年層の多さ:ASEAN地域の人口は6億人以上。特に若年層の割合が高く、購買力の増大が期待されています。
  • 経済成長率の高さ:各国の経済成長率は平均して5%以上を記録しており、中でもベトナムやフィリピンの成長が著しいです。
  • インフラ整備とデジタル化の進展:都市化やインフラ整備が急速に進んでおり、デジタル経済の発展も目覚ましいです。

成功事例から学ぶ:柔軟な戦略と現地適応

事例1: ユニクロの「グローカル戦略」

ユニクロは、ASEAN市場において「グローカル(グローバル+ローカル)」戦略を採用しています。具体的には、現地の文化や気候に合わせた商品ラインナップを展開することで、各国の消費者に適した商品を提供。タイやフィリピンなどで店舗展開を成功させました。

  • 成功のポイント:
  • 現地ニーズを徹底的にリサーチし、製品やマーケティングをローカライズ。
  • 現地文化に根付いたイベントやプロモーションを実施し、ブランドの認知度を高めた。
事例2: Grabの「Super App」戦略

シンガポール発のGrabは、ASEAN全域で多機能なアプリ(Super App)として成功を収めました。配車サービスだけでなく、フードデリバリーや決済サービスを提供し、ユーザーの生活全般をサポートするアプローチが奏功しました。

  • 成功のポイント:
  • 各国の法規制やインフラ状況に応じて柔軟にサービスをカスタマイズ。
  • 地域ごとのパートナーシップを構築し、現地企業や政府と連携。

失敗事例から学ぶ:現地理解と対応力の欠如

事例1: 大手ファストファッションブランドの失敗

あるヨーロッパの大手ファストファッションブランドは、ベトナムでの展開に苦戦しました。主な原因は、現地の購買層や文化を十分に理解せず、欧米と同じマーケティング戦略を実行したことです。価格設定や商品展開が現地の需要と合わず、短期間で店舗を閉鎖する事態に。

  • 失敗の原因:
  • ローカル市場のリサーチ不足。
  • 消費者ニーズに即していない商品戦略。
事例2: 日本メーカーの合弁事業の解消

ある日本の大手電機メーカーは、インドネシア企業との合弁事業においてトラブルを抱え、最終的に撤退することになりました。契約内容や事業方針に対する意見の相違が原因で、現地パートナーとの関係が悪化したことが主な要因です。

  • 失敗の原因:
  • 合弁事業におけるリスク管理の甘さ。
  • 現地パートナーとのコミュニケーション不足。

ASEAN市場攻略のためのポイント

成功するためには、次のようなポイントを押さえておくことが重要です。

  1. 現地市場の深い理解:
    各国の消費者ニーズ、文化的背景、法規制などを事前にリサーチし、それに基づいた戦略を立てましょう。
  2. 柔軟な戦略と適応力:
    グローバルな視点を持ちながらも、現地の状況に応じて迅速に対応できる柔軟性が必要です。
  3. 現地パートナーとの強固な関係構築:
    信頼できる現地パートナーと協力し、長期的な視点での事業展開を目指しましょう。
  4. デジタル化の活用:
    急速にデジタル化が進むASEAN市場では、デジタルツールやデータ分析を活用した戦略が有効です。

まとめ

ASEAN市場は成長の可能性が非常に高い一方で、各国の特性や課題を理解し、現地に適したアプローチを取ることが求められます。成功事例からは柔軟な戦略現地適応の重要性が、失敗事例からは市場リサーチパートナーシップの重要性が学べます。これらの教訓を活かし、戦略的にASEAN市場を攻略していきましょう。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
事業推進するための人材やノウハウ・スキルにお困りではございませんか?
15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

屋号:GC COMMUNICATIONS
住所:愛知県名古屋市中区金山1丁目14-16 トキワビル5階Voltage名古屋
電話:080-4159-8174