vol.75 タイの上流層向けビジネスチャンス

以前のタイは生産拠点という印象が強かったですが、経済成長とともにその消費力が増大していることから、一つのマーケットとして見られるようになりました。その中でタイの上流層をターゲットとしたビジネスチャンスは、多くの企業にとって非常に魅力的です。以下では、タイの上流層の特徴、ビジネスチャンスの具体例、および成功するための戦略について解説します。

タイ所得層別割合

タイは都市部と地方部において所得格差の大きい国です。例えば、下表から見て取れるように、上流層以上の割合はバンコク首都圏が21.7%%であるのに対し、その他の地域ではその半分以下に留まります。従って日本企業が上流層をターゲットする場合はバンコクが主な主戦場となります。

※このブログでは上流層を、下表の月50,001バーツ以上の所得がある個人と定義します。

引用元:タイの教育制度及び人材育成について一般調査報告書(バンコク産業情報センター塚田新也氏)https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/493722.pdf

タイの上流層の特徴

タイの上流層は、安定した収入と消費力を持ち、生活の質を向上させることに強い関心があります。この層は以下のような特徴を持っています:

  1. 安定した収入: 多くは中小企業のオーナー、ホワイトカラーの労働者、公務員などで、安定した収入を得ています。
  2. 教育への投資: 子どもの教育に積極的に投資し、質の高い教育を求めています。
  3. 健康志向: 健康やフィットネスに対する意識が高まり、健康食品やジム、フィットネスクラスへの支出が増加しています。
  4. デジタルリテラシー: スマートフォンやインターネットを活用しており、オンラインショッピングやデジタルサービスの利用が普及しています。

ビジネスチャンスの一例

  1. 教育関連ビジネス:
    タイの上流層は、子どもの教育に対して非常に熱心です。英語教育やSTEM(科学、技術、工学、数学)教育、課外活動など、高品質な教育プログラムは大きな需要があります。オンライン教育プラットフォームや学習アプリも人気です。
  2. ヘルスケアとフィットネス:
    健康志向の高まりに伴い、健康食品やサプリメント、フィットネス関連商品への需要が増加しています。ジムやフィットネスクラス、パーソナルトレーニング、ウェアラブルフィットネスデバイスなども魅力的なビジネスチャンスです。
  3. デジタルサービスとeコマース:
    上流層はインターネットとスマートフォンを頻繁に使用しており、オンラインショッピングやデジタルサービスに対する需要が高まっています。特にlazadaやshopeeのようなeコマースプラットフォーム、Grab foodやfoodpandaのようなオンデマンド配達サービスなどが有望です。
  4. 住宅とインテリア:
    安定した収入を持つ上流層は、自宅の改善やインテリアに対しても関心があります。モダンな家具、デザイン性の高いインテリアアイテム、スマートホームテクノロジーなどが人気です。バンコクの比較的高級エリアではインテリアショップが点在しております。
  5. レジャーとエンターテインメント:
    余暇の過ごし方にもこだわりがあり、国内外の旅行、レジャーアクティビティ、映画や音楽イベントなどが好まれます。旅行代理店、イベントプランナー、テーマパーク運営などもビジネスチャンスです。また特に日本への旅行も格安フライトの増便や円安効果により、上流層の旅行者が増えてきているのも特徴です。

成功に向けての戦略とは

タイの上流層をターゲットにする際には、以下の戦略を考慮することが重要です:

  1. 顧客ニーズの理解:
    上流層の具体的なニーズや嗜好を深く理解することが不可欠です。市場調査や顧客インタビューを通じて、彼らが何を求めているのかを明確に把握しましょう。また消費財メーカーですと、可能であれば上流層の家庭を訪問するとその中にひょっとしたらヒントが隠れているかもしれません。
  2. ローカライズされたマーケティング:
    タイの文化や価値観に適したマーケティングメッセージを作成し、ローカルな広告チャネルを活用することが重要です。やはりタイの方々ですので、タイ語によるメッセージの発信は必要となりますし、訴求する際にはタイ語でソーシャルメディア、地元のイベント、現地企業とのコラボレーションなどが効果的です。
  3. デジタルチャネルの活用:
    デジタルリテラシーが高い上流層にアプローチするために、オンラインチャネルを積極的に活用しましょう。ウェブサイト、モバイルアプリ、SNSを駆使して、顧客とのエンゲージメントを高めます。特に消費財ですと、SNSによる拡散が期待できます。

まとめ

タイの上流層は、経済成長とともにますます増加し重要な消費者層となっています。この層をターゲットにすることで、多くのビジネスチャンスが生まれます。教育、ヘルスケア、デジタルサービス、住宅、レジャーなど、さまざまな分野での需要を捉え、適切な戦略を実行することで、成功への道が開けるでしょう。市場調査と顧客理解を深め、ローカルに適したアプローチを行うことで、タイの上流層市場でのビジネス展開を効果的に進めることができます。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
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15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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