「守・破・離」は、日本の武道や芸道などの伝統的な教えに由来する言葉で、重要な概念です。この言葉は、師匠からの教えを基に、人が成長していくプロセスを表しています。この考え方は、ビジネスシーンでも非常に有益です。基本的なスキルや知識を身につけた後、それを柔軟に応用し、新しいアイデアや方法を見つけ出し、最終的には独自のビジネススタイルを確立することが重要です。
「守・破・離」の考え方は、個人の成長だけでなく、組織やビジネスの発展にも貢献します。
この教えを取り入れ、常に向上心を持ち続けることが大切です。
守
『型を守る』というのは、非常に重要なポイントですね。この場合、「型」とは伝統や基本、あるいは規範といったものを指します。師匠からの教えや上司からの指示、先人たちの経験に基づく業務マニュアルなどがその代表例です。
「型を守る」とは、これらの教えや指針を徹底的に守り、真似することを意味します。
これによって、基本的なスキルや理解を身につけることができます。
ビジネスシーンにおいても、上司や先輩からのアドバイスや、組織が築いてきた業務マニュアルなどがその「型」にあたります。これらを徹底的に学び、自分のものにすることが重要です。
会社の場合、組織としての一体感や連携を保つためにも、会社のやり方や文化を理解し、身につけることは非常に重要です。これには時間と労力がかかるかもしれませんが、それだけ価値があることですね。
破
「破」とは、『型を破る』ということですね。この段階では、師匠からの教えや基本の型をマスターした後に、その型を破り、自分なりのアプローチややり方に変えていくことを指します。つまり、基本の型に自らの考えやエッセンスを加えて、より効果的なものに進化させる段階です。
ビジネスシーンで言えば、上司からのアドバイスや業務マニュアルをマスターした上で、さらに効率的な方法を探求し、改善していくことが該当します。例えば、ムダな作業の削減や、担当者や業務手順の再構築などを取り入れ、業務プロセスをより効率的にし、さらにパワーアップさせる状態を目指します。
この段階では、自らの経験や知識を活かし、新しいアイデアやアプローチを導入することで、より高度なレベルに到達できます。
離
「離」は、『型から離れる』という意味を持ちます。この段階では、お世話になった師匠の道場を離れ、自らの道場を立ち上げるイメージがあります。ここでは、「守」と「破」で培ったものを持ちながら、自らの型を確立します。つまり、自分だけの独自のスタイルやアプローチを持ち、これを「The自分流」と呼べるようなものに育てます。
ビジネスシーンでは、独立して事業を立ち上げる場合や、組織内で課長やリーダーになった際には、自らの型を部下やチームメンバーに伝える役割があります。逆に言えば、課長やリーダーになるためには、部下やチームに指導できるような型を身につけておくことが重要です。
このように、「守・破・離」の考え方は、個人の成長だけでなく、組織やビジネスの発展にも大きく貢献します。
エピソード
新しいメンバーが組織に参加する際には、その組織の文化ややり方を尊重し、理解することが重要です。
実際にあった話を紹介します。鳴物入りで大手企業から中小企業へ入社されたAさんの話です。
新しく入社したAさんのケースでは、彼が会社のやり方を無視して自分のやり方で仕事を進める姿勢を取った結果、周囲との関係が悪化し、孤立することになりました。これは、組織の一員としての協調性や共感性が欠けていたためでしょう。
一方で、基本の型を理解し、それを踏まえた上で柔軟に応用する姿勢は、組織内での信頼や協力関係の構築に非常に役立ちます。
このようなアプローチは、急がずにじっくりと経験を積んで成長していくことにつながります。「急がば回れ」の考え方は、確かに重要であり、時には一見効率が悪く感じられるかもしれませんが、結果としてより持続的で健全な成長をもたらすことがあります。
組織内での協力や理解を得るためには、組織の文化や、やり方を尊重し、その中で自分の役割を果たしていくことが大切です。