皆さんは、自社の商品やサービスの強みを効果的に伝えられていますか?
お客様はそれを感じ取り、購買や成約につなげていますか?
特に若い頃に営業をしていた経験から、私自身も同様の課題に直面しておりました。
商品の利点を理解していても、その伝え方を理解していなかったのです。
焦点を商品の機能に置き過ぎていたのですが、お客様は商品が提供するベネフィットに興味を持ちます。
つまり、本質的な部分である、その商品を利用することで得られる未来を知りたいのです。
今回は、この考え方が営業だけでなく、様々な場面で役立つことについて話していきます。
販売コンセプト
販売コンセプトの設計には、佐藤義典先生の『戦略BASiCS』が参考になります。BASiCSとは、
Battle Field(戦う市場)
Asset(自社の独自資源)
Strength(自社の強み)
Customer(理想の顧客像)
Selling Message(販売メッセージ)の頭文字を取ったものです。
商品やサービスの良さだけではなく、戦場はどこか、競合相手は誰か、自社の強みや差別化点は何か、顧客はどのような人物か、そしてそのメッセージは何かを明確にすることが重要です。無計画なアプローチでは効率が悪く、時間とコストが圧迫される可能性があります。
販売コンセプトは、捨てるべき部分を捨て、重要な部分に集中するための指針となります。
この指針がブレると、無駄な努力や手当たり次第の行動につながる恐れがあります。
ベネフィットの正体
販売コンセプトを設計する目的は、自社の商品やサービスをお客さんのベネフィットに訴求することです。
ベネフィットとは、具体的にはお客さんが商品やサービスを利用することによって得られる未来のことです。
例えば、MacBook Airを考えてみましょう。Macを買う人は、美しいデザインを求めるだけでなく、それによって得られる未来を想像します。一部の人は、カフェでMacBookを開いて仕事をすることで優越感を感じたいと考えているかもしれません。また、他の人は、内蔵されたスペックを活用して新しいデザインやアイデアを生み出したいと考えているかもしれません。
これらの未来への期待が、MacBook Airを購入する主な動機です。販売コンセプトを設計する際には、お客さんがその商品やサービスを使ったときに得られる未来を明確にし、それを訴求することが重要です。
他で活かす事例
このコンセプト設計は、販売のみならず、人材採用などさまざまなシチュエーションで活用できる考え方です。
例えば、介護施設での人材採用を考えてみましょう。
B:Battle Field(同地域の他介護施設)
A:Asset(長年の介護施設運営ノウハウが詰まったマニュアルときめ細やかな教育体制)
S:Strength(施設長として、施設運営(マネジメント)に携わるチャンスを提供できること)
i(これは語呂合わせ)
C:Customer(対象は主婦で現在休職中、子供の手が離れたためそろそろ仕事に復帰したいが、
やりがいを感じられる職場が良いと思っている)
S:Selling Message(介護施設の経営に携われるチャンス)
このような採用コンセプトを設計することで、求人に応募する人たちはコンセプトに共感する人に絞られます。結果として、雇用側も求人ターゲットを絞ることで、求人期間や面接の手間を最小限に抑えることができます。
まとめ
販売コンセプトの重要性は、ビジネスのあらゆる局面で活かせることがわかりました。
お客さんのベネフィットを的確に伝えることで、効果的な販売や人材採用が可能になります。
『戦略BASiCS』の考え方は、無駄な努力を省き、成果を最大化する指針となります。
これからは、顧客の未来を想像し、その期待に応えるコンセプトを明確に設計していきたいですね。