vol.13 商品やサービスの差別化軸

モノやサービスを市場に投入する際、その強みや差別化ポイントを考えることは重要です。

例えば、高級フランス料理店を開店する場合、『本場フランスから輸入した食材を使用した料理』を売りにすることが考えられます。この場合、食材の品質にこだわっていることが強みであり、それに見合った価格設定や格式の高い雰囲気が期待されるでしょう。お客様は、高級感漂う雰囲気や大人で上品な客層、食事を重視し会話を楽しむ雰囲気を期待していることでしょう。

しかし、実際に店舗に足を運んでみると、期待と異なる場合があります。店内の雰囲気がカジュアルで、若者が多く集まり、雑踏で賑やかな場合、期待が裏切られる可能性があります。

この例は極端ですが、あなたの提供するモノやサービスの差別化ポイントとビジネス全体が一貫しているかを考える重要性を示しています。今回の話題は、私の尊敬する佐藤義典先生の『3つの差別化軸』を基にしています。
あなたのビジネスがどの軸に該当し、周辺の要素がその軸と一致しているかを確認してみてください。

気軽軸

気軽軸とは、「早い・安い・便利」という観点で、競合他社との差別化を図り、顧客に選んでもらう理由を提供することです。

例えば、外食店舗を考えてみましょう。その代表例として挙げられるのが「吉野家」です。吉野家のキャッチコピーは「はやい・うまい・やすい」ですね。吉野家の顧客ターゲットは、昼時でも忙しいビジネスマンです。彼らは素早く食事を済ませて仕事に戻りたいと考えています。そのため、吉野家ではサクッと寄って、サクッと食べて、サッと帰ることができます。

お店に入ると、カウンターを中心にレイアウトされており、注文後すぐに料理が提供されます。また、価格も手ごろで、お財布に優しいという点も重要です。店内の雰囲気は明るく、外からでも中の様子が見えるような造りになっています。これによって、誰でも入りやすくなっています。

このように、吉野家は気軽軸の要件を見事に満たしており、顧客にとって手軽に利用できる外食店として定評があります。

商品軸

商品軸とは、「高品質・新技術」という観点で、顧客に選んでもらう理由を提供することです。

外食店舗の例として、冒頭でも紹介した「高級フランス料理店」がこれに当てはまります。ここでは、食材にこだわりを持ち、ここでしか味わえない料理を提供することで顧客を惹きつけます。店内に入ると、高級店ならではの雰囲気が漂い、上質な音楽が流れます。照明には高級感を醸し出すような間接照明が使用されています。

メニューを見ると、長い料理名や専門用語が並びますが、これは料理の手の込みを感じさせるものです。顧客は料理が運ばれるまでのワクワク感を味わうでしょう。

価格設定も高額であり、その価格に見合った料理の提供が期待されます。店舗の物語が演出され、食材だけでなく、サービスや雰囲気など全体が高品質であることを体現しています。

密着軸

密着軸は、顧客それぞれのニーズに対応する形でサービスを提供することを指します。

特に個人で事業を始める場合に、この軸がよく見られます。外食店舗の例としては、「地元の行きつけの飲み屋」や「自分自身の隠れ家的なバー」がこれに当たります。お店に入ると、常連客やマスターと顔なじみの人々がいて、居心地の良い雰囲気が漂います。カウンターでくつろぎながら、日常の会話や愚痴を聞き合ったり、笑い合ったりします。メニューも顧客にとっておなじみであり、「いつもので良い?」といったやり取りが自然に行われます。

このような親しみやすさや地域社会との結びつきが、密着軸を形成します。顧客はこうしたお店を訪れることで、自分の居場所やホームを感じることができます。

まとめ

これらの軸は、ビジネスを展開する際に重要な指針となりますね。気軽軸では、吉野家のような早くて安くて便利な外食店が、忙しいビジネスマンにとって心強い選択肢となっています。一方、商品軸では高級フランス料理店のように、高品質で新しい料理体験を提供することで、顧客の期待に応えていますね。

そして、密着軸は特に個人の経営者にとって重要で、地元の飲み屋や隠れ家的なバーがその代表例です。こうした場所では、常連客やマスターとの親しみやすい関係が築かれ、顧客は自分の居場所を見つけることができます。

それぞれの軸が、異なるニーズや期待に対応し、顧客とのつながりを深めています。ビジネスを展開する上で、これらの軸を理解し、自身のサービスや商品がどの軸に位置するかを考えることが重要ですね。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
事業推進するための人材やノウハウ・スキルにお困りではございませんか?
15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

屋号:GC COMMUNICATIONS
住所:愛知県名古屋市中区金山1丁目14-16 トキワビル5階Voltage名古屋
電話:080-4159-8174