vol.52 潜在的なニーズへのアプローチ

皆さんは、自分が何かを伝えたいときに言葉として言語化できている自信はありますか?実はこれ、相手のことはよく見えるのですが、自分のこととなると途端に見えなくなるものです。なぜなら、客観的に物事を捉えられる場合と比べ、主観的の場合、視野が極端に狭くなるからです。「灯台下暗し」と言う言葉があるぐらいですからね。

私自身もお客様へのコンサル現場では、視座を広げて見える範囲を広くすることができるから全体を俯瞰し、どこにエラーが起きているのかを見つけることは得意です。しかし、自分を俯瞰してみるってとても難しいものです。

この記事では、最近あった出来事の中から私自身が「これ、解決したいと思ってたけど、盲点だったわ」と思った出来事を紹介します。この記事を読むと、表に出た顕在的なニーズよりもいかに裏に隠れた潜在的なニーズにアプローチすることが大事であるかを、ご紹介します。今回は「マグカップ」のお話でございます。

「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」とは

 顕在ニーズは、顧客や市場が明確に表現した要求のことです。これは、消費者が直接的に自分の問題や望みを示す場合に起こります。 たとえば、ある人が「新しいスマートフォンが欲しい」と言った場合、それはその人の顕在ニーズとなります。 これらのニーズは、市場調査や顧客フィードバックを通じて比較的容易に把握できます。

潜在ニーズは、顧客や市場がまだ自覚していない、またははっきりと表現していない要求です。 これらのニーズはしばしば顕在ニーズとは異なりますが、実際には市場で非常に重要な役割を果たすことがあります。 顧客が自分のニーズを認識していない場合でも、そのニーズを満たす製品やサービスが提供されれば、それに対する需要が生じることがあります。

例えば、人々が歩行者専用の商店街で買い物をする際に、彼らが「車両からの排気ガスが気にならない環境で買い物をしたい」という顕在的なニーズは なくても、「自動車の排気ガスを避ける」という潜在的なニーズが存在するかもしれません。このような潜在ニーズを発見することで、 新しい製品やサービスの開発や市場への参入の機会を見逃すことなく、競争力を強化することができます。

分析ポイント

営業マンやマーケッターが、顕在ニーズと潜在ニーズを意識すべきポイントをまとめると、以下のようになります。

  1. 顕在ニーズと潜在ニーズの両方を把握するために、市場調査や顧客からのフィードバックを積極的に収集する。
  2. 消費者の行動やトレンドを注意深く観察し、潜在ニーズを発見する。たとえば、市場の隙間や未解決の問題にも注目する。
  3. 顧客が製品やサービスを使用する際の使いやすさを向上させるために、顧客体験を最適化する。これには、使いやすさや利便性の向上、顧客サポートの充実などが含まれる。
  4. 市場の変化に対応するために、競合の動向や新たなトレンドを追跡し、マーケティング戦略を調整する。迅速な行動や柔軟性が求められる。

これらの着眼点や切り口によって、ニーズを炙り出していきます。

マグカップの巻

先日、我が家で起きた良い事例をご紹介します。それは、BRUNOというメーカーのステンレスマグカップで、妻が私にプレゼントしてくれました。私自身、通常自宅で仕事をしており、夏でも冬でもアイスコーヒーを自宅用のコーヒーサーバーから飲んでおります。

しかしながら、普通のマグカップでは、特に夏場ですと氷が溶けてしまい、コーヒーの味が薄まってしまいます。
この「氷が溶けるのをなんとかしたい」というのが、顕在ニーズとなります。それを思って妻がプレゼントしてくれたんです。

ところがです。このマグカップを受け取った時に、マグカップは蓋付きであることに気づきました。
この蓋を見た瞬間、私の潜在ニーズに一気にアプローチしてきたのです。それは何かというと、
1.蓋付きだから、長時間デスクに放置していても、ホコリが入らない!
2.しかも、蓋の密閉率もあり、1階のキッチンから3階の書斎にコーヒーを持って移動する際にこぼれる心配もない!

実はこれ、今まで私自身が無意識に嫌だなと感じていたことでした。
これが私の心にぶっ刺さり、今では愛用しているのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。この記事のまとめとなります。

1. 顕在ニーズと潜在ニーズの理解
顕在ニーズは、顧客が明確に表現するニーズであり、市場調査や顧客フィードバックを通じて把握しやすい。
潜在ニーズは、顧客が自覚していないニーズであり、市場で重要な役割を果たすことがある。これを発見することで新たな市場機会が生まれる。

2. 分析ポイント
顕在ニーズと潜在ニーズの両方を把握するために、市場調査や顧客フィードバックを積極的に収集する。
潜在ニーズを見つけ出すために、消費者の行動やトレンドを注意深く観察し、市場の隙間や未解決の問題に注目する。製品やサービスの使用体験を向上させるために、顧客体験を最適化する。蓋付きマグカップのように、潜在ニーズにアプローチすることが重要である。

3. 具体的な事例 – BRUNOの蓋付きマグカップの事例は、顕在ニーズと潜在ニーズの両方を満たす製品が顧客に受け入れられることを示している。製品やサービスの提供において、顧客が自覚していないニーズにアプローチすることが、顧客満足度やロイヤルティを向上させる重要な手段である。

以上のポイントを踏まえて、顕在ニーズと潜在ニーズを理解し、製品や
サービスの提供において顧客に価値を提供していきましょう。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外販路開拓・業務改善コンサルタント
事業推進するための人材やノウハウ・スキルにお困りではございませんか?
15年間の海外ビジネス経験のなかで、海外駐在を2度経験。最前線で営業マンとして活躍し海外市場を切り拓いた結果、計100社以上の海外企業へ販売を実現。
また計4社で11箇所の部署を経験、業務効率化に尽力。異動引継が多い環境であったため、如何に組織のなかで人材を機能させるかに着目した結果、仕組み化の重要性に気づく。
これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。現在、企業様への海外販路開拓および業務改善という2つの切り口からコンサルティング支援中。

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