帝国データバンクのデータによると、2023年に倒産した件数は8,497件となり
前年比+33.3%と急増しております。
下請企業にとって、特にエネルギー価格・輸入原材料の高騰や、昨今の賃上げムードにより労務費が嵩み
経営に多大な影響を与えていることは間違えありません。
ではその分製品へ価格転嫁できれば問題ないのですが、なかなかそうはいかないのが現状です。
特にBtoBでは、発注事業者となる大手企業と受注下請中小企業との間で、価格交渉となると一筋縄にはいきませんよね。
私自身も、下請企業として海外の大手輸送機メーカーと価格交渉を経験したことがあり、値上げ交渉の場合は特に
事細かなデータを用いて、価格が上がる理由を示さなくてはならない環境で仕事をさせてもらいました。
この記事では特に国内における価格交渉を取り上げたいと思います。
今回の結論としては、「価格交渉促進月間」なるものを切り口として活用するということです。
「おいおい、現場はそんな甘いものじゃないぞ!」と怒られるかもしれませんが、売上と仕入の狭間に立って
我慢したことにより利益を搾取され続け、結局は倒産になってしまったら悲しいですよね。
まずは先方へ耳を傾けてもらうきっかけとして活用いただければ良いと思います。
価格交渉促進月間とは
政府は、労務費の上昇などが取引価格に適切に反映されることを促すため、毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」と位置付けております。価格転嫁等による取引適正化は、特に中小企業の賃上げを通じて、社会全体での構造的な賃上げを実現するうえで重要です。
そして、適切な価格転嫁によるサプライチェーン全体での共存共栄関係を構築することが、わが国経済の持続的な成長につながります。
(日本経済団体連合会のHP〜2024年3月「価格交渉促進月間」へのご協力のお願い〜より抜粋)
要は政府が旗振り役として中小企業の背中を押してあげて、大手側である経団連も中小企業と共存共栄を
図っていこうよといったことでしょうか。
実際の結果
2023年9月の価格交渉促進月間フォローアップ調査の結果として、中小企業庁から発表されております。
こちらは2023年9月で5回目を迎え、前回2023年3月時の調査結果との変容を比較したものとなります。
参考:中小企業庁 価格交渉促進月間(2023年9月)フォローアップ調査の結果について(確報版)
結果から思うこと
まだまだ十分に価格転嫁できた状態であるとは言えなくとも、価格交渉のテーブルに付いたのは大きな
前進であると言えますね。この活動が徐々に浸透し始めている証拠ではないでしょうか。
とはいえ、コストは上昇したが、価格交渉は不要と考えている層が増えているのは気に掛かるところです。
実際に2023年3月では11.8%→2023年9月では17.3%と増えています。
要は取引先企業の手前、なかなか言い出しづらいだとか、言ったら仕事が回ってこなくなるかもしれない
と思う下請企業さんもいることでしょう。
こういう時こそ、この「価格交渉促進月間」という切り口を使って、価格交渉へと挑んで欲しいものです。
まとめ
今回は皆さんへ何かノウハウを提供するというものではなく、一つの切り口として取引先との価格交渉
に悩みを抱える下請企業さんへの情報提供でした。
やはり取引先(得意先)を複数持ち、どこかの企業との仕事がなくなっても他があるから大丈夫という
強いポートフォリオを持っておきたいものです。
そうすれば、多少の値上げも強気に価格交渉ができるはずです。
価格交渉は簡単なことではありませんが、痩せ我慢により利益を圧迫すると危険です。
単価(売上高)は買えず、材料費(変動費)が上がれば、その分粗利が減ります。
そしてその減った粗利から人件費などの固定費を差し引いて、どれだけ利益が残っているか、
そして経営を考えるにあたって、どれだけ利益を残したいのかを検討していく必要があります。
もし一緒に考えて欲しいと思った方は、お問合せフォームよりご連絡ください。
無料相談にて御社のお悩みをお受けしております。